コーティング

ガラスコーティングのデメリットとは?

硬い被膜が特徴のガラスコーティングはいろいろなメリットがあります。
数あるコーティング類の中でも王道的な存在ですね。
メリットが多い分、施工には時間と手間、それから技術的なスキルが必要です。
ガラスコーティングの持つデメリットとメリットを解説します。

ガラスコーティングのDIYはスキルがないと難しい

ボディコーティング剤はDIY用品がカーショップなどで数多く市販されています。
しかし、それらの中にガラスコーティング剤はほとんど見当たりません。
ガラス系と表記されているのはガラス繊維含有で、他のポリマーコーティング剤と同じ。
ガラスコーティング剤とは別物です。

その理由は、DIYで作業する人が少ないから。
ワックスやポリマーコーティング剤のように誰でも作業できるというものではありません。
経験値が乏しい素人が施工すると失敗する確率が極端に高くなります。

ガラスコーティング剤は基本的にケイ素を主成分とした液状。
石油系の溶剤が入っていないので、空気に触れるとすぐに表面が固まります。
失敗例でもっとも多いのが塗りムラ。
ガラスコーティング剤が均一に塗られていないため、光沢に部分的な差異が生じてしまいます。
また厚く塗った部分が白く変色した例やひび割れを起こした例もあります。

硬化したガラスコーティング剤を施工し直すためには剥離をしなければなりません。
もちろん、ネット通販などでガラスコーティング剤を購入することは可能です。
しかし、作業経験がない人にとってはあまりにリスキーな作業ですね。

プロに任せることのデメリット

ガラスコーティング剤の鮮やかな輝きを実現するためには下地処理が重要です。
まずは徹底的な洗車。
それから表面の脱脂作業。
中古車の場合はボディカラーの色褪せがあるので、コンパウンドで磨かなければなりません。

これらの手間、少しでも省くと汚れたままガラスコーティングすることになります。
屋外で作業するなら風のない日を選ぶことが大切。
きれいになったボディにうっすらホコリが付着していたら拭き取り掃除のやり直し。
疲労感で気分が凹むのは間違いありません。
できれば、屋内のガレージなどを借りた方が余計な手間を減らせます。
以上の理由を考えれば、ガラスコーティングはプロに任せた方が賢明ですね。

専門業者に依頼するデメリットは施工料金が高いこと。
しかし新車の状態であれば下地処理が少なく済むので料金は安くなります。
プロ施工のガラスコーティングは持続性が長く、5〜6年が一般的。
この間、コーティング剤を購入してDIYで作業する手間と比較すればコスパはお得です。
失敗を考えなくていい、という安心感も大きな違いでしょう。

デメリットの対価は被膜の高度な硬さ

ガラスコーティングの施工が複雑でスキルを必要とするのはプロでも同じ。
当然、時間もかかります。
下地処理から塗布完了まで4〜7日。
さらに完了後は完全に硬化するまで水に濡らしてはいけない、などの注意事項があります。
これをデメリットと考える人もいるでしょう。

でも、時間がかかる作業はその分だけ対価が得られます。
ガラスコーティング最大の特徴は前述したように硬い被膜。
現在、コーティング業界では被膜の硬さを鉛筆硬度とモース硬度で表しています。

なお、硬さとは引っかき傷に対する変形の度合いです。
鉛筆強度はJISが定めた塗料一般試験方法で、鉛筆の芯の硬さが基準。
最高値は9Hです。

モース強度とは主に鉱物の硬さの基準で最高値はダイヤモンドの10。
ガラスコーティングの一般的な鉛筆強度は9H、つまり最高値ですね。
モース強度では3〜4.5、蛍石や燐灰石に相当します。
これはナイフの刃でようやく傷がつく硬さ。

塗装の厚さで知られるドイツ輸入車でも鉛筆強度は2〜3Hです。
比較すれば、ガラスコーティングの硬さが分かるでしょう。

この硬さ、1回塗っただけでは得られないので何層も重ね塗りしなければなりません。
プロの施工で時間が必要なのは、この作業のためなのです。

被膜、じつはもっと硬くすることもできます。
しかし、硬すぎるとひび割れや剥離が起きてしまうため、9Hが限界といわれています。
なお、施工時間や硬度は業者によって異なります。
依頼する際は料金も含め、事前に確認しましょう。

プロ施工によるガラスコーティングのメリット

被膜の硬さによるメリットは以下のようにいくつもあります。

小傷がつきにくい

ワックスやポリマーコーティング剤は柔らかいため小傷がすぐにつきます。
ガラスコーティングであれば、小枝や飛び石などによる小傷を防ぐことができます。

汚れが付着しにくい

天然樹脂や石油系溶剤が入ったコーティング剤は油分の汚れが付着しやすくなります。
ブレーキダストやピッチ・タールなどがこびりつくとなかなか落ちません。

ガラスコーティングは無溶剤。
油分の汚れが付着しにくく、しかも汚れをカンタンに落とすことができます。

ただし、雨染みは別。
雨上がりで注意したいのは水玉によるウォータースポットやイオンデポジット。
直射日光の強い日、水玉を放置しておくとこれらの雨染みが発生しやすい状態になります。

これはどのようなコーティング剤でも、またコーティングしていなくても同じ。
とくに撥水加工は小さな水玉になるのでこまめなメンテナンスが必要です。
屋外駐車でメンテナンスが頻繁にできない人は親水加工が最適。
雨が水玉にならず広がって流れるので雨染みができにくくなります。

透明感のある輝きと深い艶

何層も重ねられた硬いガラス被膜は塗装を守るだけでなく輝きと艶を与えます。
ボディに映り込む光や景色の鮮やかさはガラスコーティングならではの魅力でしょう。

ガラスコーティングは定期的なメンテナンスが必要です。
しかし新車のうちに施工すれば、色褪せすることなく長く維持できます。
また中古車であっても徹底的な下地処理によって新車に近い塗装が甦ります。
愛車のためのコーティングをするなら、ベストを選びたいですよね。
ちなみに下取りや買取りの際、施工してあると査定が高くなるのもメリットのひとつです。