今回はシリコンスプレーが、自動車コーティングの代わりとして使えるかどうかを考察します。
車のボディを保護するものとして従来はワックスが一般的でしたが、最近ではコーティングが主流を占めるようになりました。
コーティング剤としてはフッ素系やガラス系など様々な素材がある中、シリコン系のコーティング剤もあります。
シリコンスプレー本来の機能は、引き戸の滑りをよくしたりファスナーの動きをよくしたり、というものです。
コーティングの代用品として耐えうるものなのかという点や、実際に使用する際の注意点などを具体的に見ていきましょう。
車のコーティングにはこんな役割がある
車のコーティング最大の役割は、ボディ表面を保護し劣化を食い止めるというもので、光沢や撥水効果というのはプラスアルファの効果になります。
塗布するコーティング剤によりボディ表面に特殊被膜を形成し、その被膜が水を弾いたり汚れを付きにくくしたりすることで、ボディに直接ダメージを与えないという理屈です。
またコーティングの被膜はワックスと同様ボディに光沢を与えますが、耐久性はワックスよりも優れており、洗車の都度施工する必要がありません。
シリコンコーティングはポリマー系とよばれる樹脂コーティングの一種で、コーティング剤に含まれるシリコンが被膜を形成しています。
コーティング剤にはほかにも、より強固な被膜を形成するガラスコーティングや油脂性コーティングともよばれるワックスなどがあり、素材の特徴やニーズにより使い分けられています。
コーティング剤としてのシリコンスプレーの能力
次に今回の本題である、コーティング剤としてのシリコンスプレーの有用性を見ていきます。
結論からいうと、シリコンスプレーはコーティング剤の代わりとして十分機能します。
もちろん、専門のコーティング剤とは異なる特徴がありますが、メリット・デメリットという形で具体的に見ていきましょう。
シリコンスプレーを使うメリット
シリコンスプレーを使う最大のメリットは費用面にあり、一般的なコーティング剤よりも圧倒的に安価なシリコンスプレーは、優れたコストパフォーマンスを発揮します。
プロのコーティングが数万円、DIY施工する際のコーティング剤が数千円かかるのに対し、シリコンスプレーは数百円の出費でツヤや撥水効果を得ることができるのです。
またシリコンスプレーによるコーティングは、施工が簡単というメリットもあります。
コーティングによっては、洗車後の水分にシビアなものも多いです。
洗車後のボディからしっかりと水分をとばしたり、施工後時間をかけて乾燥させたりする負担は意外に大きいです。
シリコンスプレーであれば、ボディにスプレーして塗り広げるだけなので、手間暇がかからないというのも便利な一面なのです。
シリコンスプレーを使うデメリット
シリコンスプレーをコーティング剤として代用する場合、自動車専用品ではないことによるデメリットもあります。
手軽にツヤや撥水効果を出せるシリコンスプレーですが、本格的なコーティング剤と比べると、どうしても効果は劣ります。
塗って拭くだけという点も魅力ですが、拭き取りが十分でないとムラが発生するため、きれいに仕上げるためには拭き取りや磨き上げにコツが必要です。
そのためコーティングの仕上がりにこだわる人にとって、シリコンスプレーはかえって手間がかかる方法になるのです。
またウインドウガラスの撥水剤として、フッ素系やシリコン系のものが市販されており、。同じ成分だからとシリコンスプレーで代用することを考える人がいるかもしれません。
しかしシリコンスプレーではウイィンドウがギラギラしてしまい、かえって視界を遮ってしまうことにもなりかねません。
視界を良好にして安全にドライブするためにも、ガラス面にシリコンスプレーを施工するのは避けるようにしましょう。
シリコンスプレーでコーティングするときの手順
ここまで紹介したシリコンスプレーの特徴を踏まえ、シリコンスプレーでコーティングをする際の手順を紹介します。
一般的なコーティング剤と違う点は特になく、洗車した後塗布するという流れになります。
ボディを洗車する
洗車はボディメンテナンスの基本で、コーティング剤をなじませるためにもしっかりと行う必要があります。ボディに傷が付かないよう、あらかじめ十分に水をかけてホコリなどの汚れを落としておきましょう。
その後カーシャンプーなどを使ってボディを洗い、その後たっぷりの水分でシャンプーを洗い流します。
ここでもボディを傷付けないよう、「シャンプーを十分に泡立てる」「力を入れすぎてゴシゴシこすらない」などの注意点があります。
市販のコーティング剤を使用する際は、ここで洗車後の水分をしっかりと拭き取る必要がありますが、シリコンスプレーを使う場合そこまで神経質になることはありません。
極端な話、水分を拭き取らずそのまま次の工程に進んでも問題はありません。
シリコンスプレーを吹きかけ、塗り広げる
洗車で汚れやホコリを落とした後にコーティング剤を塗るのも、一般的なコーティング施工時と変わりません。
シリコンスプレーの場合はスプレーするだけという手軽さもあり、スプレー後はウエスで水とシリコンをなじませるように塗り広げ、その後ボディを磨き上げていきます。
ワックスや他のコーティング剤と違うのは、塗ったコーティング剤を乾かす必要がない点です。
その分拭き取りをしっかり行う必要がありますが、シリコンスプレーはムラになりやすいので、磨き上げのときは特に注意しましょう。
まとめ
自分でも手軽に車のコーティングができる時代になりましたが、シリコンスプレーという意外なものでも代用でき、市販のコーティング剤より手軽に効果を得られます。
しかしコーティングそのものの効果は、専用のコーティング剤にはかないません。
シリコンという素材も、耐久性はどうしても限定的です。
加えてしっかりとコーティングの効果を出すためには、しっかりとした下地処理も欠かせません。
多くのコーティング専門店で取り扱うガラスコーティングでは、入念な下地処理を行います。
また強固なガラス被膜がボディを保護するため、自分で行うコーティングより見た目も効果も優れています。
費用はお手頃にというわけにはいきませんが、出費の分は十分もとがとれます。
手間を省くという目的でシリコンスプレーを考えている人は、専門店にガラスコーティングを依頼することを検討してみてもいいでしょう。